ルカ・モドリッチ。
日本が決勝トーナメントで負けた相手がクロアチアで、そのキャプテンの名前がモドリッチです。彼は37歳。クロアチア紛争の影響で6歳から18歳まで難民ホテルで過ごしたそうです。彼がまだ幼かった頃、今日は点を決めることができたけど、明日自分の国はどうなってしまうんだろう?という不安を、日本は平和過ぎて、僕には上手く想像することができません。今回のワールドカップで決勝トーナメントを日本とブラジルに勝利した後、アルゼンチンに負けてしまいますが、彼は別の大きな勝利を手に入れたと思います。クロアチアの子どもたちがどのようにワールドカップの試合を観ていたか。それは想像することができます。
「勝つ」とはどういうことなのでしょうか?
以前より複雑で難しいことのように感じています。ロシアがウクライナに侵攻した直後、ユヴァル・ノア・ハラリ(歴史学者)は「ロシアはすでに負けている」と英国ガーディアン紙に寄稿しています。いままでのパワープレイが通用しないということが今後益々おこると予測します。
そして、物語を作る力がかつてなく重要になっていていると思います。
今回のワールドカップにはあと一歩のところで出場することができなかったウクライナチームですが、いつか今のウクライナの子どもたちが大人になりワールドカップに出場し、PKで勝利した後に平和な国の人々から「君たち運が良かったね」と声をかけられて笑顔を魅せるスーパースターが出てくることを願います。