白野です。僕は麻雀教室を時間で区切っています。例えば10時から12時50分とか。僕にとって、時間は常にそこに「ある」ものです。しかし、こんな視点もあるのかとわくわくした気持ちになりました。
僕は小学生三年生の時からアレルギー性鼻炎になり、ひどいくしゃみや鼻水鼻詰まりを経験してきました。それが30代後半からマラソンを数年やったからなのか、年齢的なもので何か鈍感になったからなのか分かりませんが、どうやらアレルギー性鼻炎はどこかに行ってしまいました。このところずっと体調が良いです。そうなると例えば読書がとても楽しいものになります。
「時間は存在しない」カルロ・ロヴェッリ
『わたしたちの近くに「今」は存在するが、遠くの銀河に「今」は存在しない。』
もう10年も前の話ですが、10時になったので麻雀はじめるよー‼️と声をかけてやろうとしていると、そんなのお構いなしに向こうのテーブルの上にスーパーで買ってきたお惣菜を並べて食べはじめる80代後半の女性ハタエさん。朝ごはんを食べてきてないという。昨晩スーパーを覗くと半額だったので買っておいたのだそう。牛丼とお野菜のてんぷら。ゆっくりとよく噛みながら、急ぐ様子はまったくなく、優雅に1時間かけて完食。
「さあ、麻雀しようかのう」と彼女は言ったのでした。
『現実は往々にして見かけとはまるで違っている。地球は平らに見えるが、じつは丸い。太陽は空を巡っているように見えるが、回っているのわたしたちのほうだ。そして時間の構造も見かけとは違い、一様で普遍的な流れではない。』
もう10年も前の話ですが、80代後半の女性ハタエさんが、日赤通りの信号のないところを勝手に横断していて。僕が偶然見つけた時がありました。まるで天然記念物の動物を見守るように道路の真ん中に車が止まっている状態で、あぶないですよと僕が言ったら。「急いで渡りよるけん大丈夫」と彼女は言ったのでした。その後コレだけは僕の言うことを聞いてくださいました。
『時間は存在しない。そしてこの世界は、物ではなく出来事でできている』
もう10年も前の話ですが、ハタエさんが入院した時、病院から公衆電話で僕の携帯にかけてくれたことがありました。ちょうどみんなで麻雀しながらあの元気なハタエさんが入院されて大丈夫かしらと噂をしていたちょうどそんな時でした。「麻雀教室は大丈夫か?」と彼女は言ったのでした。
僕はこう答えました。
「はい。大丈夫です。安心してください」