2017年7月22日土曜日

元気が出る図書館だより2017夏号


 人の心にズカズカと土足で踏み込んで来る彼の厚かましさは、僕の人見知りの部分や思春期特有の孤独主義を簡単に打ち砕き、気が付いたら僕達は友達になっていた。
又吉直樹、キネマ旬報のエッセーより


数学の研究は、ある意味、小説を書く行為に似ている。さまざまな登場人物がいて、彼らについて徐々に理解を深めることができる。物語が進展したころ、ふとある登場人物のことを改めて見てみると、当初抱いていた印象とはまったく違う側面をもっていることに気付く。
マリアム・ミルザハニ(女性数学者)


ある日、机の上に赤い花模様のテーブル・クロスを見た後、目を天井に移すと、一面に、窓ガラスにも柱にも同じ赤い花の形が張りついている。部屋じゅう、身体じゅう、全宇宙が赤い花の形で埋めつくされて、ついに私は消滅してしまう。そして、永遠の時の無限と、空間の絶対のなかに、私は回帰し、還元されてしまう。これは幻でなく現実なのだ。私は心底から驚愕した。
『無限の網 草間彌生自伝』より


私があなたに向かって「こんにちは」と言う時、私はあなたを認識するより先に、あなたを祝福していたのです。私はあなたの日々を気遣っていたのです。私は単なる認識を超えたところで、あなたの人生のうちに入り込んだのです。(レヴィナス)

私が「あなた」に出会うときに、私はすでに「認識」に先だって「祝福」を行なっている。「あなた」の顔を眺め、肌の色や目の色や服装を認識して、「あなた」が何ものであり、どのような属性を持つ者であるのかを特定し、挨拶することが適当であると「判断」したがゆえに挨拶がなされたのではない。認識に先立ち、認識を超えて、私は「あなた」に祝福を贈る。このとき祝福の贈り手である私は、いわば「無からの創造」としてコミュニケーションの場そのものを立ち上げている。
『レヴィナスと愛の現像学』内田樹


サピエンスが発明した想像上の現実の計り知れない多様性と、そこから生じた行動パターンの多様性はともに、私たちが「文化」と呼ぶものの主要な構成要素だ。いったん登場した文化は、けっして変化と発展をやめなかった。そして、こうした止めようもない変化のことを、私たちは「歴史」と呼ぶ。
『サピエンス全史』


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